【評議員あいさつ】
この度、惠国際交流財団の奨学金を受給されることになった皆様。おめでとうございます。留学することによって大きく二つのことができると思います。一つ目は、言うまでもなく皆さんの知識の向上です。このことについては、既に皆さん十分にご理解をされているかと思います。
そして、もう一つは、国際交流です。留学先には、皆さんと同じように他国から留学してきた学生も数多く在籍していると思います。彼らと触れ合うことによって受ける数々の事柄はみなさんのこれからの人生において、計り知れない経験値となるかと思います。
この奨学金を受け取る意味を今一度思い返し充実した留学生活を送られることをお祈りいたします。
最後にみなさんに言葉をお送りいたします。
「夢なきものに理想なし、理想なきものに計画なし計画なきものに実行なし、実行なきものに成功なし。夢なきものに成功なし。」
皆さんこんにちは。当財団で評議員を務めております森哲也と申します。
このたび、本欄への執筆を依頼されたことを契機に本財団の名称である「国際」「交流」の意味について、改めて広辞苑で調べてみたところ、「国際」とは「諸国家・諸国民に関係すること」、「交流」とは、「ちがった系統のものが互いにいりまじること。また、いりまじらせること。」とのことでした。
したがいまして、財団の奨学援助を利用された皆様にも、留学により諸外国・諸国民に関係して得た貴重な知識や経験を一方通行的なものにせず、是非、日本の文化や日本で得た経験とミックスさせ、真の相互理解、相互発展につなげるような活動をしていただければありがたいと感じております。よろしくお願い申し上げます。
評議員 森 哲也
【選考委員あいさつ】
皆さんの胸には、希望に満ちた将来への夢と無限の可能性への期待が広がっていることでしょう。どうか健康に留意して、所期の目的を達成すべく勉学に励んでください。留学で大切なことの一つは現地の大学で学生や教員と議論し、自分とは異質の文化を持つ彼らの考え方や論理の立て方を知ることでしょう。そこで得た経験は、将来グローバル化した世界で生活し仕事をする中で、必ずや皆さんを支えてくれる大きな力となるはずです。海外に出て留学生活を送ることには、楽しいことだけでなく辛いこともあるでしょう。しかし、その困難を乗り越えた先には、自身の成長と、人生を支えてくれる友人や貴重な体験と知識が待っています。惠国際交流財団への感謝の気持ちと「留学後は社会から受けた恩恵におかえし出来る人材になってほしい」という財団の願いを忘れずに、努力を積み重ね、皆さんが翼を思い切り広げ大きく羽ばたくことを心から念じています。
選考員 五味 政信
司馬遼太郎は「江戸期の人達にもし会えるなら、まっさきに田屋嘉兵衛(1769〜1827)に会いたい」と『この国のかたち』の中で書き、『菜の花の沖』では嘉兵衛の生涯を大変魅力的に描いています。嘉兵衛は商人で、千島列島を航海中、偶然ロシアの軍艦に捕えられ、カムチャツカ半島に連れて行かれたのですが、言葉が全然通じなかったにも関わらず、この不幸を奇貨とし、当時日本ロシア間にあった紛争を解決しようと決心し、幕府や藩の後ろ盾もない捕虜の立場でありながら交渉にあたり、見事に紛争を解決しました。
嘉兵衛がこのような大事業をなしえた要因は、嘉兵衛の誰もが認める操船技術の優秀さ、異なる文化を持った人をも引き付ける人間力、そして目的を持ち、それを命がけでやり通そうとする意志力です。現代においても、世界で仕事をしていくうえで、この三つの要素は大変重要だと思います。
このことを念頭に置いて世界でどうぞ羽ばたいてください。
選考員 横田 淳子
【監査あいさつ】
日々世界は目まぐるしく変革をつづけており、近年グローバル化が益々進んでいる一方で、日本人留学者数が減少の一途をたどっているというニュースが流れて久しくなりますが、近隣諸国に目を向けると中国、韓国とも海外留学生数は伸びています。
この内向きともとれる現在の日本の傾向の中、高い志と行動力をもって海外留学をする皆さんをこの惠国際交流財団を通じて見守ることができ、光栄に思うと共に、皆さんの成長を非常に楽しみにしております。
皆さんが留学先で学び、感じたことを生かして総合的な人間力を高め、日本ひいては世界に活力を与えられるような存在になることを心から祈っております。
監査 平田 英之